2013年4月30日火曜日

今の営業スタイル

最近のコンサル業務で営業改革にかかわるテーマが増えています。現在の経済環境の中で売上高が低迷し、収益に大きな影響を与えているクライアント先が増加しており、これを対策すべく営業の改革活動が必要になってきていると思います。

営業とは言葉通り、業(事業)を営む事であり、単なる物売りの販売ではありません。ターゲット顧客を決め、顧客の課題、ニーズを抽出し、課題解決をする為の製品、サービスを提供し、その対価として売上があがります。まさに業を営む事であり、企業の重要な機能です。この観点で営業と販売の言葉を使い分けています。

営業のスタイルはソリューション営業、コンサルティング営業、提案営業、御用聞き営業、待ち営業というようなさまざまなタイプがありますが、時代の背景によって、営業のスタイルが変化してきています。


高度成長時代のものが足りなく、物質的な豊かさを追求していた時は、消費者の購買意欲が旺盛で、モノがほっておいても売れました。ところがバブル崩壊後、右肩下がりの飽和時代に入って、消費者の購買意欲が減退化、潜在化し、従来の営業スタイルでは物が売れなくなってきています。

高度成長時代は御用聞き営業、待ち営業スタイルが主流でしたが、現状のデフレ環境ではソリューション営業、コンサルティング営業、提案営業のような顧客の課題を明確し、積極的に製品、サービスを提案する営業スタイルが必要になってきています。まさに営業の言葉通り、業(事業)を営む事を時代が要請しています。

 この営業スタイルのプロセスを少し解説します。
① 顧客の選定
積極的に営業活動を実施する見込み顧客をきめる

② 顧客の関係構築
提案する為の情報収集をする為に顧客との親密な関係構築をする

③ 顧客のニーズ開発
仮説の打診提案をする事により、顧客の課題、ニーズを抽出する

④ 顧客への提案
開発したニーズに基づいて魅力ある製品・サービスの提案をする

⑤ 見積、受注
提案内容について顧客要求条件と自社条件の整合を図る

⑥ フォローアップ、アフターサービス
製品、サービスを提供し、その後のフォローアップをする


以上がソリューション営業、コンサルティング営業、提案営業といわれる営業スタイルの原理で、このプロセスを通して、①会社を売り込む ②事業を売り込む ③製品・サービスを売り込む ④技術を売り込む ⑤営業マン自身を売り込むの「5つの売り込み活動」を実施する事になります。

原理プロセスなので実施する事は当たり前に感じますが、ポイントは「顧客の情報収集による的確なニーズ開発」と「これに適応した魅力提案」です。

2013年4月23日火曜日

企業文化について

企業文化について今日は説明をしたいと思います。
イノベーションを育む企業文化のコンセプトは「社員に自由な環境で自分がしたいと思う事ができる環境がある」と思わせる事のようです。

その為に
①ビジョンを周知する
・もっとも革新的な企業となり、顧客に優先的に選択されるサプライヤーになる。
② 先見性を大切にする
・顧客の潜在、顕在ニーズを引き出す為にマーケティングを大切にする
・カスタマーテクニカルセンターで技術の見える化をする
まさに、ドラッカーが提唱しているマーケティングとイノベーションの両輪をまわしています。
③ ストレッチゴールの設定
・ 実力値より少し背伸びした目標値を設定。
もとGEのジャックウエルチが提唱したストレッチ目標です。
④行動の自由/エンパワーメント
・自主性と失敗の許容をする。
有名な15%カルチャーの推進です。
⑤コミュニケーション/ネットワーキング
・社員のアイデアを生み出す為の非公式の社内ネットワークの設定をしています。
⑥表彰と認知
・成果をあげた社員には表彰の形で報いる

6項目の仕掛け、仕組があります。

この3Mのように色々な企業にベンチマークされる優秀な会社はトップダウンの仕掛けだけではなく、イノベーションが促進される仕組、組織文化があると思います。

以上の内容をイノベーションの促進方法として整理してみました。

第1 イノベーションが必要な背景を明確にする
組織に危機感、必要性が認識されないとイノベーションがおこりません。

第2 イノベーションをおこす為のビジョンを明確化する
会社、組織としての目指す姿を明確化する必要があります。

第3 イノベーションのテーマを設定する
具体的なイノベーションのテーマを設定します。

第4 ストレッチゴール、目標を明確化する
目指すべきイノベーションテーマの目標を設定します。

第5 アイデアを生み出す為の行動の自由を促進する
自由な発想ができる環境を整えます。

第6 組織のコミュニケーションを活発化させる
コミュニケーションが活発化するネットワーク環境を整えます。
オフサイトミーティングも大切です。

第7 結果に対して会社から評価する
社員の頑張りに対して表彰、昇給、昇格で報います。
この仕掛けを皆さんも考えてみてください。

2013年4月18日木曜日

無駄とゆとりを科学する

今日は無駄について投稿します。

先日、「無駄とゆとりを科学する」というテーマで東大教授の西成活裕教授の話を聞く機会がありました。
この先生はもともとは、交通の渋滞学を研究されていたらしく、渋滞の無駄を研究する内、無駄の定義、無駄取りの研究に広がったとの話でした。

無駄は人によって無駄か、無駄ではないか認識の違いが色々あるようですが、その視点は「目的の違い」「期間の違い」「立場の違い」で発生するようです。

1.目的の違い
例えばある書類を保管してる場合、Aさんの目的はその書類にかかれているノウハウを活用する為にある。ところがBさんはその書類のノウハウは必要ない場合、Bさんにとってはその書類は無駄の書類に成る。
2.期間の違い
物を不要な無駄なものとして捨てるか、必要なものとして保管するかの違いは期間の違いにあり、例えば1年の期間で捉えている人は必要とするが、1週間の期間で考えている人は無駄なものとして捉える違いがでる。
3.立場の違い
例えばある仕事を顧客の立場でとらえるか、企業の立場で捕らえるかで無駄の判断が変わる場合がある。

この3つの視点で無駄かどうかを判断すると意外と結論がでやすくなるのではないかと思います。

ちなみに私は「目的>手段」 目的に対して手段が過小なものは無理で「目的<手段」 目的に対して手段が過大なものは無駄だと定義しています。

トヨタでは7つの無駄と称して
1.作り過ぎの無駄
2.手待ちの無駄
3.運搬の無駄
4.加工の無駄
5.在庫の無駄
6.動作の無駄
7.不良を作る無駄
を定義して、現場改善を進めています。

皆さんも身の回りのものの無駄、仕事の無駄を是非見つけ出してみてください。無駄取りをしてゆとりを作りましょう。

2013年4月15日月曜日

勝つための経営

今日は前回に続いて差別化製品の内容を書きたいと思います。

日曜日、本屋で「勝つための経営(グローバル時代の日本企業生き残り戦略)」と題して失敗学の権威の畑中洋太郎氏と1990年代にサムソン電子の開発改革を担当した吉川良三氏の共著を購入しました。


内容は日本の製造業が、不調であったのは、円高、税制等の外部環境を言い訳にしているが、実際は1980年代の成功体験におぼれ、モノづくり改革を怠ってきた結果であった事。

そして、サムソン電子はじめ、韓国、台湾勢が強いのは決してコスト競争力のみで勝っているのではなく、開発プロセスを変革し、顧客の要求する差別化商品を市場投入してきたからだという事でした。

モノづくり改革とは

1.市場・顧客ニーズを把握、変換し、期待に応える製品をタイムリーに市場投入できる開発プロセスを変革する。

2.開発プロセスは要素技術開発、先行開発、製品開発(マーケティング、製品企画、設計、生産準備、生産、物流、販売)に区分けできるが、この3つの開発プロセスの改革を推進する。

3.日本企業はこの3つの開発プロセスついて、全て1980年代は力があったが、現状、要素技術開発、先行開発は力があるが、この製品開発プロセスがサムソン電子はじめアジアの企業に負けている。
例えば、サムソン電子は1990年代に日本企業の物真似から3次元CAD等を活用したデジタルモノづくり改革を推進し、最短のリードタイムで、顧客の要求する差別化製品を投入するできるようになった。
以上の内容が書かれていました。、

私自分自身が自動車メーカにいたからではないですが、自動車業界については、トヨタをはじめ自動車メーカ各社は得意の生産の改革だけではなく、製品企画、設計等の開発プロセスもデジタル化を進め、製品開発プロセスの変革は行われており、韓国の自動車メーカに比べて優位性はあると思います。

一方、家電メーカ業界は、先行開発まではアジアの企業より、優位性があるが、製品開発プロセスの革新が弱いと考えています。
事実、有機EL等はソニーが先行開発まではいち早く展開できるが、製品開発プロセスに問題があり、市場投入しても販売価格等の問題から販売台数が伸びず、生産を中止しています。
これに対して、サムソン電子等の韓国勢は、当初は先行開発は遅れていましたが、大型~小型までの有機ELをいち早く、量産化して販売をはじめています。
但し、このサムソン等の開発プロセスの改革の影には、日本の技術者がかなり、流出し、この改革を担ってきたきた事も事実ですが。
いずれにしても、日本の企業が生き残る為には、グローバルな市場を前提に現地のニーズに適合した差別化製品を企画、開発、生産、販売する事と全て自前主義の考え方ではなく、この製品開発プロセスを協業しながら力を付けていく事だと思います。特に開発、生産プロセスは投資負担の関係も含めて協業が大切と思います。

2013年4月8日月曜日

売れるための差別化

今日は差別化製品について、お話します。

製造業のあるクライアント先で事業戦略を検討しているのですが、差別化製品とは何かで議論になりました。

新しい機能を付加する、仕様をアップする、もしくは他社が追従できない価格で勝負する等の視点が出ましたが、本当にこの差別化視点で製品が売れるのでしょうか。

このクライアント先は、今まで、この対応で差別化できていましたが、中国、台湾、韓国勢の追従が激しく、すぐコピーされる、価格で負ける等で差別化の効果が出せないで悩んでいます。


大手家電メーカーのソニー、パナソニック、シャープが液晶、プラズマテレビで海外勢にまけて、大きな赤字をだしたのも、この戦略をとっていたからだと思います。

売切製品では製品だけの性能、価格の勝負になり、顧客を囲い込めません。

アップルのiphoneは、ユーザーの好みでダウンロードできるアプリケーション、iクラウドのようなネットワークで、ハードだけではなく、周辺のコンテンツ、ネットワークサービスで差別化する戦略で顧客を囲い込んでいます。

右肩上がりの市場では、ハードの製品のみで差別化ができましたが、現状の物あまりの状況ではハード以外の顧客が製品を使用する状況に合わせて、サポートができるソフトの世界で差別化をする必要があると思います。

物づくりを得意としてきた日本の製造業は売切製品のハードの世界の差別化から、製品を使用する段階でのソフトの世界(例:開発段階でのエンジアリングサービス、製品のアフターサービス等)を組み合わせて、差別化をしないとグローバルな市場で生き残れないのではないかと非常に危機感をもっています。

差別化製品とは何か、是非、皆さんも考えてみてください。

2013年4月5日金曜日

現場を知らずに経営判断をすると・・・

先日、鈴木博毅著書の失敗の本質という本を読みました。

太平洋戦争の日本軍とアメリカ軍を対比しながら、現在の日本企業の経営の失敗の本質を23項目の視点で体系的に説いています。

この中23項目の視点の中で同感したのは

1.日本軍は戦略が曖昧で目標達成につながらない戦略をとっていた。(戦略、戦術を忠実に実行したとしても、目標が達成できない)

クライアント先もこのような曖昧な戦略が多々あります。


2.日本軍は戦略の指標が間違っていた。 勝利につながらない指標(日本軍は毎回その場限りの短期決戦の勝利を指標にしていたが、アメリカ軍は長期持久戦で勝利する事を指標においていた)をとっていた。

高機能、高性能の携帯電話を開発していた日本の携帯電話メーカーがアップルのiphoneのネットワーク、オープンソースによるアプリに負けた事と同様だと思います。


3.成功体験が勝利を妨げる。 戦略を以前の成功体験をコピー・拡大生産すれば環境変化に適応できずに失敗する。

日本のソニー、シャープ、パナソニックの大手家電メーカーがテレビ事業で失敗した状況はまさにこの例と思います。


4.司令部が現場の能力を生かせない。日本軍上層部が権威主義で現場に指示を出し、現場の意見を取り上げなかった。一方のアメリカ軍上層部は現場の自主性、独立性を認めて、現場と意見交換をして戦略の修正をした。

この事はまさに現代の経営も同じで、現場を知らずに経営判断をすると経営の失敗につながります。

この現場をしらない権威主義タイプの経営者をよく見かけますがユニクロの柳井会長は年の半分は現場を回る時間に費やしているようです。


23項目の数例ですが、なるほどと思う内容が多くありました。経営者、或いは経営者を目指している方はこの本はお勧めです

2013年4月3日水曜日

様々な形の顧客満足

先日、家具を購入する為に、
日本の有名な高級家具量販店と
本社が欧州にある有名な外資系の家具量販店に家内と娘で行きました。

当日は連休で人が多く、両方の店とも混雑していました。

売り場面積は両店舗とも非常に広い点は同じですが、販売方式が全く対照的です。

日本の家具量販店は家具を選ぶ為に営業担当(コーディネーター)がつき、要望をいえば、ほしい家具のところに案内してくれ、商品説明をしてくれました。
我々の要望を聞きながら、予算とニーズにあった商品を選定してくれるわけです。


そして、驚いたのは家具を設置する家のスペースを説明した時に家具が搬入できるかの確認がその場でできないとわかると、わざわざ家まで出向いて確認してくれる対応を約束してくれました。
搬入、設置の現場担当任せでは無く、自ら行動してくれる対応でした。


一方、欧州の家具量販店は安さを売りにしているらしく、全てセルフ対応でした。
店の売り場で気に入る家具を自ら選んで、倉庫の棚ナンバーを記録して、最後に一階にある家具倉庫の棚に商品を取りに行き、レジに並んで代金を払います。
ここまでは、それぞれ顧客の価値観(高額だけど良い家具を買いたい人と低価格の家具に価値観がある人)に対応したシステムで、納得をしていたんですが、その後の対応で顧客満足とは何かと考えさせられました。
欧州の家具量販店で代金を払ったまでは良かったのですが、家具が大きくて配送を頼みました。配送の場所はレジの場所とは少し離れていて、そこまで顧客が運ぶ仕組になっています。
当日、たまたま、私は用事があり、代金を払ってレシートを持ったまま、家内に配送の手続きを頼んで店を離れました。
暫くしたら、家内からレシートがないと配送手続きができないと断られたと連絡がありました。
理由は家具の重量がわからないからとの話でした。

その場に家具があり、且つ、レシートは無くとも商品の重量ぐらい調べればわかるはずですが、配送手続きの窓口の担当者は駄目との一点張りだったようです。
おかげで私が戻ってレシートを見せる2時間ほど間、家内と娘は配送の窓口で待っていたようです。


顧客が困っている状況をみたら、マニュアル的、ビジネスライク的対応ではなく、自分で判断して、顧客の問題解決をする事が、本当の顧客満足度ではないのかと感じた買い物でした。