2013年9月20日金曜日

トヨタの在庫管理をヒントに

今日は在庫について、書きたいと思います。

皆さんの会社で在庫はどんな意識で捉えられているでしょうか。
トヨタでは在庫がある事は悪と考えよと教育されます。

在庫は現場で製造されたものが会社にストックされていて、お金、キャッシュに変わっていません。また、現状のデフレ環境下では、在庫は瞬く間に陳腐化して、販売できなくなります。
高度成長時代の環境では大量に在庫を持っていても、いずれは販売でき、問題なかったものが、現在では、在庫が生鮮食料品化して、瞬く間に廃棄しなくては駄目な状況になります。
以上の観点から、結果として、在庫は会社のキャッシュフローの悪化をまねきます。

トヨタのジャストインタイム(JIT)が米国で変換されたサプライマネジメント(SCM)経営手法では、このムダな在庫を削減する為に企業間の三つの流れの改善をとなえています。
①顧客⇒企業⇒調達先間について情報の流れの停滞改善
②調達先⇒企業⇒顧客間について部品、製品の物の流れの停滞改善による在庫の削減
③顧客から製品を販売した結果によるすばやいキャッシュの回収

考え方としては「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」生産し、顧客に届け、在庫を限りなく削減する思想です。

良く、例えで言われるのは、屋台のラーメン屋です。当日に販売する食材とスープを仕込み、顧客の注文を受けてから、麺をゆで、スープをいれ、具材をいれ、完成させて顧客に出します。材料が全て無くなれば、看板を下ろします。在庫はまったく残しません。

企業ではなかなか、屋台のラーメン屋のようにいきませんが、究極目指す姿は部材在庫、仕掛在庫、完製品在庫が限りなく、少なくなる仕組を、その企業の業態の特性に合わせて考えるべきと思います。

皆さんの会社では在庫削減の為の取組をされているでしょうか。是非検討してみてください

2013年9月11日水曜日

組織風土の課題

組織風土について、最近、コンサルティングの現場でよく話がでます。経営課題は環境変化に応じて変化しますが、会社組織の皆さんが能動的にやりがいをもつて、ベクトルをあわせて、働く為にはどうしたら良いのかという組織風土の課題は定常的におきます。

今日はこの課題について、お話をしたいと思います。

まず、組織風土の定義ですが、このように考えています。

組織風土とは個人が認識する固有的な組織の特性で、組織の共通の価値観として個人の行動を規制する働きをもつもの。

わかりやすくお話すると、個人が集まった組織体が長年の歴史の中で、自然に共通の価値観を作り出し、この価値観で行動するようになることです。

例えば、トヨタの組織風土は、仕事は「業務+改善」と全員が考え、常に仕事をしながら改善をする事が当り前になっています。共通の価値観が「改善をし続ける」事です。

この組織風土はその会社のおかれている業界、顧客、経営者、製品、歴史等様々な因子で形成されます。トヨタのように良い組織風土ならば問題ないのですが、組織のベクトルが悪い方向に向くような風土では改善が必要になります。

そこで組織風土を改善する為にその構成要素を考えてみました。
①     共通の価値観
組織が同じ方向に向かってベクトルをあわせて行動しようとする感情
②     同一の危機感
どんな状況でも、常に現在と将来に対して危機感をもち、一層の改善を実現しようとする感情
③     自信と信頼
自分の持っている能力を信じ、他人の持っている能力を信頼し、仕事をする感情
④     感謝の気持ち
自分達が現在の状況でやっていけるのは他者から受けた支援の結果であると気付き、常に感謝する気持ち、感情
⑤     高い欲求水準
今どのような状況であろうとも、その状態に満足することなく、常に自己を律しながら目指す姿を達成しようとする感情

皆さんの会社の組織風土について、この要素にあてはめてみて、問題を探り出してみてください。

2013年9月3日火曜日

海外進出のステップ

今日は海外進出のステップと注意点について、説明したいと思います。

現在、国内がデフレ経済で需要が減少している中で、海外に進出する企業が増加しています。取引先の要請、国内の売上補完、コストダウン、市場拡大、人材活用等色々の海外進出する狙い、背景があります。この時のステップと注意点について解説します。

1.海外進出の前提条件の検討
1)      海外進出する目的、狙いを明確化する
2)      海外進出するフェーズの検討をする
(1)   第1フェーズ  製品の輸出
(2)   第2フェーズ  現地生産  
(3)   第3フェーズ  現地販売
(4)   第4フェーズ  現地開発
3)      投資額と回収の見込み検討
4)      利益回収方法の検討
配当金、ロイアリティ、内部留保等の検討をする

2.進出先の選定
1)      海外進出の目的にあった進出先検討
2)      進出先の国民性、賃金上昇カーブ確認
3)      カントリーリスク等の検討

3.進出形態の検討
1)      レンタル工場レベル、建物を賃借、工場を一から建設等のように進出形態を検討する
2)      合弁か独資かの検討が必要だが、株主の経営に対する思想、意志が整合しないと合弁会社は運営が非常に難しい

4.生産拠点の設立
 1)工場建設、工場の内装、外装工事等の契約は必ず書類で実施する。口頭契約は揉め事の元
 2)建設図面で詳細な打合せを実施する
 3)検収時は細部まで確認する。手抜工事は当り前と思うべき

5.組織機能、仕組について
1)      基本は日本の工場をマザー工場として、日本の仕組、システムを移転する前提で組織機能、仕組みを作る
6.組織体制と人材について
1)      基本は性悪説で組織を構成する
2)      日本人の経営者、スタッフ⇒ローカルの経営幹部、スタッフ⇒ローカルの作業者の組織体制を作る
3)      金銭に関わる仕事はできるだけ日本人スタッフで実施する

海外進出の検討は製造業にとって、必須になりつつありますが、成功する為には基本のステップとそのポイントを守りながら、スピードをあげた行動が必要だと思います。

次回は工場運営、労務管理、国別事情を説明したいと思います。

2013年8月27日火曜日

一流とはなにか

今日は一流とは何かを考えてみたいと思います。

先日、羽生善冶 名人のある名言を知りました。
「三流は人の話を聞かない。二流は人の話を聞く。一流は人の話を聴いて実行する。超一流は人の話を聞いて工夫する。」

私も経営コンサルタント業を22年経験し、この言葉は非常にしっくりきます。

私の仕事でも大切な事は
①    人の話を聞く事
②    人の話の中に本質的な問題点を見つけだす事
③    問題を解決する改善案を検討する事
④    その改善案を実行に移す事
⑤    実行した結果のレビューをする事
の5段階です。
まさに、「超一流は人の話を聞いて工夫する」事です。

この5段階を実行する為には「人の話を聞く為の謙虚さ、物事の本質を見極める思考能力、問題を解決する知恵、工夫、実行の為の行動力、執念」の姿勢が必要です。

クライアント先の経営者でも、一緒に仕事をさせていただいて、感銘を受ける経営者は、羽生善冶 名人の言葉の「超一流は人の話を聞いて工夫する」を実行されています。

この考え方は我々のようなコンサルタントだけではなく、社会人として人生を成功させたい方にも共通する考え方だと思います。
皆さんもこの言葉を是非実行してみてください。

2013年8月20日火曜日

本物の経営者とは

仕事柄、色々な経営者とお会いし、お話しする機会が多いですが、
優秀な経営者としての必要な要素は何かと考えさせられる場面が多々あります。
上から目線のプライドが高い経営者、経営手法ばかりを語る経営者、
経営数字のみに固執する経営者、夢物語ばかりで現実を直視しない経営者、社員をモノとして扱う経営者。
人間が千差万別のように経営社のタイプも色々です。
私が考える本物の経営者は5つの要素を備える経営者だと思います。

1.過去の実績、現在の状況を素直に捉え、戦略の転換を勇気をもってできる。
  過去の成功体験にとらわれない。戦略ミスを素直に受け入れる


2.売上至上主義から利益重視主義に思想を変える。
  デフレ環境の中で売上のみを重視しないで、利益を確保する事を最重要に考える。


3.利益確保の為の経営改革施策を立案、実行する。
  営業戦略、営業構造の見直し、コスト競争に陥らない独自性製品の開発、変動費、固定費の低減。
  
4.私心の強い経営者ではなく、謙虚さをもつ経営者である。
  自分ではなく、人に助けてもらう思想を持つ。人の話を聞く、自分の考えを押し付けない。
  会社は自分のものではなく、従業員、株主、顧客、仕入先のものの認識が必要。


5.本物を見抜く力を身に付ける。
  適材を見抜き活用する、うわべの話にだまされない。


皆さんは本物の経営者の条件はどう思われますか?

2013年8月16日金曜日

製造業が元気になるポイント

先日、製造業が元気になるモノ造りというセミナーで講演をしました。今日はその講演の要点を説明します。

セミナープログラムは下記①~⑤の項目です。

①1980年から現在までの経営環境の変化と企業の戦略の変遷について
②現在の自動車、家電メーカーの業績について
③家電メーカの業績悪化要因について
④韓国の代表的メーカ、サムソン電子と中国メーカの経営分析
⑤グローバル展開の中で日本の製造業が復活する秘訣について

バブル崩壊前の企業の戦略は多角化でバブル崩壊以降は選択と集中の戦略をとりましたが、テレビ事業に過度な集中戦略を取った家電メーカーの業績が軒並み悪くなっています。一方で、開発技術、生産技術等を日本から吸収し、グローバルな市場のマーケティングを実施、商品の企画に落し込み、設計開発・生産をしたサムソン電子はテレビ事業でも好調な業績を保っています。
集中戦略は誤りではないのですが、市場環境の変化に俊敏に対応した集中戦略と市場のニーズに適応した商品企画開発が必要です。
従来の日本の強みのモノ造りだけではなく、顧客にとって、価値がある商品をタイムリーに市場投入できる企画開発力を磨く事が必要と考えます。

その観点で日本の製造業が元気になる秘訣は
①市場をグローバルに捉え、環境変化に俊敏に適応した事業戦略の革新
②モノ造りを磨きながら価値造りへの変革
 差別化製品(顧客に取っての価値製品)企画力強化とITを活用したデジタルモノ造り
③グローバル人材の採用、育成
④日本の中だけでガラパコス化している組織の風土改革
です。

2013年8月8日木曜日

口頭伝承の文化でよいのか

今日は文書化の必要性についてブログを書きます

コンサルティングをしている現場で口頭伝承の文化をよく、感じるときがあります。会議の議事録をかかない、上司に口頭の報告で済ます。文章にする事が面倒なのか、なかなか文字にして表現しない場面を多々見ます。欧米の企業では様々な人種の社会の中でビジネスが進められる為に、相手に意志を伝達する手段として必ず紙に書く事が常識になっています。日本は単一民族の為、口頭でも意志伝達が容易な事が文章を書かない要因なのかもしれません。

文字にして表現する事のメリットを考えると
1.書く事により、頭の内容を整理する事ができる
2.記録として残る為、後で記憶に頼る必要が無い
3.情報を受信する側も口頭より文章のほうが内容を理解しやすい

われわれのコンサルティングの場面で、口頭による空中戦の議論より、板書をして議題を整理する事がよくあります。話の内容が複雑になればなるほど、板書をする事により議論の展開が非常にスムーズになります。聴覚だけではなく、視覚も使う方が思考回路がうまく働くのかもしれません。

皆さんも仕事の場面で、できるだけ、口頭のみを少なくして、文字で表現して相手に意志を伝える事を是非、実践してみてください。