2013年5月23日木曜日

全員営業

以前、クライアント先の仕事で売上対策の議論をしました。リーマンショック以降、日本の製造業は売上ダウンが発生し、工場の操業停止に追い込まれている企業も珍しくありません。
このクライアント先も売上が前年比、半減し、社長は売上確保に躍起になっています。
自己資本比率が高く、赤字が出ても、企業の存続にすぐ影響するような問題はありませんが、やはり外部環境の影響により、成り行きで、売上を落とす事が問題と考えているようでした。

この為、営業部門長、技術部門長、製造部門長、管理部門長の経営幹部を集めてこの厳しい環境下で、売上確保をどうしたらできるかを議論しました。

ところが主体となるのは営業部門で他の部門長は他人事です。
売上を確保するのは営業部門の役割で、我々は設計、製造、管理部門でやるべき事は別にあり支援はできるがという感じです。
まさに私「売る人」私「設計する人」私「造る人」です。
このままでは議論が進まないので「全員営業」というキーワードを提案しました。

販売するのは営業部門だけではなく、全ての部門が営業マンとして活動し、売上を稼ごうというコンセプトです。
確かに会社が大きくなり、組織化されると職務分掌を作成し、各部門の役割を明確化し組織的に企業活動が行なわれるようにする事が大切です。各従業員が個人商店的に動いていると非常に業務の効率が悪くなります。但しこれが行き過ぎると組織間の壁(セクショナリズム)が発生し、部門最適で行動するようになり弊害がでてきます。

経営コンサルタントの一倉定氏が「責任範囲の明確化」自体が、無責任社員を作り出すといっているように、平常時は効率化の為に組織的に仕事をこなす事は大切ですが、非常時は組織の壁を乗り越えて活動することが重要です。

話を戻しますが、この会議ではこの観点で非常時の売上確保というテーマで全社員が営業になって活動しようというコンセプトで議論しました。
新聞に、ある会社が「営業に技術員を動員」という記事がのっていました。

技術者40人の内20人を工場に近い客先に営業活動をさせるという施策です。この施策は製品の技術内容に詳しい技術員が、直接製品を説明する事で製品導入がしやすくなります。また、顧客から不満や要望を直接聞けるので製品開発に役立てる事ができるというメリットもあります。

まさに全員営業の観点で職務機能を乗り越えて活動する事により、売上確保のメリットも出せ、個人の能力も上がると考えます。私も昔、自動車メーカの開発部隊にいた時に半年営業マンとして活動した事があります。
最初はなぜ開発担当者が営業活動をする必要があるのか、時間が無駄だと感じていましたが、実際仕事をしてみると直接顧客と接することができ、車に対する顧客のニーズ、使い方が現場体験でき非常に有用だったと記憶しています。
この厳しい経済環境下で、通常時のルーチンを回す組織活動だけではなく、大きく組織機能、役割を乗り越えた人の配置、行動により経営課題を解決する施策を実施する事も必要ではないかと考えます。

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